第14回日本臨床腫瘍薬学会学術大会2025
大会長 近藤 直樹
(独立行政法人国立病院機構東京病院薬剤部長)
第14回日本臨床腫瘍薬学会(JASPO2025)を令和7年3月15日(土)~16日(日)までパシフィコ横浜ノースにおいて、開催することとなりました。
日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)は、平成22年に研究会として発足し、平成24年に社団法人化として学会に移行し、現在、正会員数が5,897名(令和6年1月31日現在)と薬系学会の中でも多数の会員を有する学術団体として成長しています。
さてわが国では、平成18年6月にがん対策基本法(平成18年法律第98号)が成立し、平成19年6月には、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「がん対策推進基本計画」が策定されました。この基本計画では、がん薬物療法の提供体制が不十分であることが重要な課題の一つとされており、放射線療法、緩和医療等と並んで、重点的に取り組むべき事項の一丁目一番地に位置づけられました。この一丁目一番地の取り組むべき事項として、がん薬物療法専門医等の養成とともに、薬剤師、看護師等の医療従事者が協力して、がん薬物療法にあたる体制を構築していく必要があると同基本計画において明記されました。また、外来や在宅におけるがん薬物療法に対し、安心・安全な環境を提供すべく、保険薬局との連携についても言及されました。これはすなわち、病院内における医師、薬剤師、看護師等で組織されたがん専門チームの体制整備に加え、病院薬剤師と保険薬局薬剤師の連携強化は必至であり、患者やその家族等が抱える様々な苦痛、悩み、負担に応えるために、安全かつ安心で質の高いがん医療を提供できる体制づくりを院内外で進めることが重要であることを意味していると考えております。
JASPOでは設立時より、これらの重要なミッションを進めており、JASPO2025においても、その襷をつないでいきたいと考えております。またJASPO2025のテーマを「Challenges for the future~がんの克服を目指すために一人ひとりができること~」といたしました。これは、令和5年3月28日閣議決定された「第4期がん対策推進基本計画」において「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」との全体目標が掲げられており、JASPO2025においてもその施策の一助を推進する必要があると考えたためです。
JASPO2025では、がん患者を含めた全ての国民ががんに関する正しい知識を持ち、避けられるがんを防ぐことや、誰もが、いつでもどこにいても、様々ながんの病態に応じた、安心かつ納得できるがん医療や支援を受け、尊厳を持って暮らしていくことができるがん対策を推進することを、一人ひとりが考える機会となるよう鋭意準備してまいりたいと存じます。皆様のご参加をお待ちいたしております。